ファームの構築
サーバー ファームの方が 1 つのロケーションにあるサーバーより、パフォーマンスや冗長性、セキュリティにおいて優れた機能性を提供します。
計画
実際のインストールを開始する前に、計画を立てることが必要です。考慮すべき項目は、以下の通りです。
- 信頼性のメカニズム
- ウェブ サーバー (QlikView Web Server もしくは Microsoft IIS)
- 冗長性レベル
- サービスを実行するアカウント
- QVPR 形式 (XML もしくは SQL)
- ユーザー ディレクトリ
- ユーザー許可
- ファイアウォール
信頼性のメカニズム
信頼性のメカニズムは Windows グループもしくは証明書によって実現できます。
Windows グループは、すべてのサービスが単一のアクティブ ディレクトリ (AD) にあれば、実装が容易です。暗号化された通信が必要な場合は、手動で追加できます。
証明書は、ドメインを超えた環境で信頼性メカニズムとともに、SSL/TSL 暗号化も提供します。
ウェブ サーバー
QlikView Web Server は、QlikView 以外の目的でウェブ サーバーを必要としない場合に使用されます。ライトウェイトで管理が容易ですが、QlikView インストールに必要なタスクを同時にサポートするには限界があります。
Microsoft IIS をホストするウェブ サーバーが推奨されるのは、次のような場合です。
- より柔軟性の高い、あるいは高度なチューニングが必要な場合
- QlikView より他のタスクでウェブ サーバーを使用する頻度が高い場合
- 初期設定で必要な許可スキームが使用できない場合
冗長性レベル
冗長性レベルは、クラスター化もしくは同一のサービスを複数のマシンで実行する場合に問題となります。QlikView Management Service (QMS) 以外のすべてのサービスは、複数のマシンにインストール可能です。さらに、クラスター化が可能なのは QlikView Server (QVS)、QlikView Distribution Service (QDS)、Directory Service Connector (DSC) です。
サービスを実行するアカウント
QlikView サービスを管理するには、専用アカウントを作成する必要があります。アカウントにはインストール中、正しい権限を割り当てる必要があります。
すべてのサービスに同一のアカウントを使用することをお薦めします。
QVPR 形式
QVPR 形式の選択は、QlikView 製品以外の理由 (バックアップや利用設定など) に基づきます。インストールは、通常 XML モードで開始されます。
ユーザー ディレクトリ
Windows ユーザーの場合、デフォルトは QlikView です (NTFS モード)。Windows ユーザー以外にアクセス権を付与する場合 (匿名以外) は、Document Metadata Service (DMS) モードで QlikView Server が起動している必要があります。
DMS モードは、他の理由からも推奨されます。
ユーザー許可
QlikView は複数の許可スキームをサポートしています。ASPX 開発およびウェブ サービスで Microsoft IIS を使用する場合には追加スキームが必要な場合があります。
ファイアウォール
(ファイアウォールで適切なポートが開いているなど) サービスの通信が可能であることを確認してください。
ルートと最初のインストール
まず、適切なサービス アカウント (複数の場合もあり) が設定され、サービスがインストールされているマシンが利用可能であることを確認してください。
すべてのインストールは単一の QMS 上に存在する必要があり、まず最初に QMS をインストールしなければなりません。QMS が続いてインストールされるサービスすべてと通信できることを確認してください。
同一サーバーで実行するサービスが複数ある場合は、それらを同時にインストールすることができます。
他のマシンにサービスを追加する
次の手順は、他のサーバーに他のサービスをインストールすることです。同一サーバーで実行するサービスが複数ある場合は、それらを同時にインストールすることができます。サービスを追加する順序は重要ではありません。
サービスをインストールしたら、QlikView Management Console (QMC) に戻りサービスを設定します。これは、[システム (System)] タブで設定します。最初のステップとしてサービスを追加します。クラスターの構築と新しいクラスターの作成の違いには注意が必要です。
クラスタリング
このセクションでは、QlikView Server クラスターの作成方法について概説します。
詳細については、次を参照してください。
QlikView Server
QlikView Server クラスターが適切に動作するには、[システム (System)] > [設定 (Setup)] > [QVS リソース (QVS resource)] > [フォルダ (Folders)] > [ルート フォルダ (Root Folder)] の順で選択し、共通の共有フォルダを設定することが重要です。さらに、[代替の一時ファイル フォルダ パス (Alternate Temporary Files Folder Path)] を共通の共有フォルダに設定する必要があります (ルート フォルダとは別)。
拡張機能を使用している場合は、共通の共有フォルダに [代替拡張パス (Alternate Extension Path)] を設定することで管理が容易になります。
共通のロケーションに対し [システム (System)] > [設定 (Setup)] > [QVS リソース (QVS resource)] > [ログ (Logging)] > [ログ フォルダ (Log Folder)] の順で選択して設定を行うのは共通ですが、必須ではありません。
QlikView Distribution Service
QDS クラスターの場合、[システム (System)] > [設定 (Setup)] > [基本設定 (General)] の順で選択し、共通の共有フォルダに [アプリケーション データ フォルダ (Application Data Folder)] を設定する必要があります。さらに、[ソース フォルダ (Source Folders)] を共通の共有フォルダに設定してください。
Directory Service Connector
DSC クラスターに特別な設定は不要です。クラスター化された DSC とクラスター化されていない DSC の違いは設定が共有か否かという点です。
QlikView Web Server
複数のウェブ サーバーを設定することは可能ですが、設定は個別に行います (つまり、クラスター化はされません)。複数のウェブ サーバーで QlikView Web Server (QVWS) と複数の Microsoft IIS を起動させることは一般的ではありませんが、技術的な観点からは可能な設定です。
Microsoft IIS を使ったトンネリング
トンネリング は、Windows ネイティブ クライアント (QlikView Desktop、OEM OCX、QlikView プラグイン) が使用するとともに、クライアントが ポート 4747 を使って QlikView Server と通信できない場合に必要です (たいていはファイアウォールがトラフィックをブロックしていることが原因)。
- QVWS: 追加の設定は不要です。
- Microsoft IIS:QVSTunnel.dll ファイルを ISAPI フィルタに追加する必要があります。
Microsoft IIS 7 でトンネリングを設定するには次の手順を実行します。
- Internet Information Services Manager を開きます。
- IIS トップ ノードを選択します。
- ISAPI および CGI の制限ダイアログを開きます。
- 操作 (Action) パネルで [追加 (Add)] を選択して、QVSTunnel.dll を検索します。
- インスタンスの説明を入力して、[拡張パスの実行を許可する (Allow extension path to execute)] ボックスをオンにします。
- QlikView Server および Publisher ページをホストするサイトを開いて、[スクリプト (Scripts)] をクリックします。
- [ハンドラー マッピング (Handler Mappings)] ダイアログを開きます。
- ISAPI dll を検索し、操作 (Action) パネルの [機能のアクセス許可の編集 (Edit Features Permission)] を選択します。
- 開いたダイアログで [実行(Execute)] をクリックします。
QVS および Microsoft IIS が異なるコンピュータ上にある場合は、レジストリで以下のエントリが必要です。
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\QlikTech\QlikTunnel]
- “QVSPort”=dword:000012a6
- “QVSServer”=“QvsHost”
クライアントのブラウザ ウィンドウに次の URL を入力して QlikView Server トンネルをテストできます。
http://<Servername>/scripts/qvstunnel.dll?test
Servername はウェブ サーバーです。トンネルを正しく設定したら、ウェブ パージにトンネリングが使用可能になったというメッセージと QlikView Server のバージョン番号が表示されます。